結論:令和8年7月から経審のP点が上がる制度が始まりました
「職人いきいき宣言(建設技能者を大切にする企業の自主宣言)」に登録すると、令和8年7月以降の経営事項審査(経審)でP点が6点または7点上昇します。公共工事の入札を目指している建設業者にとって、検討すべき制度です。
職人いきいき宣言とは?
国土交通省が運営する制度で、建設技能者の処遇改善に取り組むことを宣言する仕組みです。宣言した企業はポータルサイトに公開され、経審の加点対象となります。
宣言の内容は大きく3つの柱から構成されています。
(1)労務費確保・賃金支払い等のための取組
自社様式の見積書に労務費・材料費等の内訳を明示すること(必須)、下請事業者から提出される見積書の内容を考慮・尊重することなどが含まれます。
(2)建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用
雇用する技能者について詳細型の技術者登録を行うことが求められます。
(3)宣言企業との取引優先
取引先の選定に当たり、自主宣言を行っている企業を優先的に選ぶ取組です。

経審への影響:具体的にどのくらいP点が上がる?
宣言によりW評点に「5点」上昇し、最終的にP点が6点または7点上昇します。
わずかに思えるかもしれませんが、入札の点数争いでは1〜2点の差が受注の可否を左右することもあります。
なお、経審の加点対象となるのは令和8年7月1日以降の申請分からです。

申請の流れ
STEP1 ポータルサイトで宣言内容を確認する
国土交通省の「職人いきいき宣言」ポータルサイトにアクセスし、宣言項目を確認します。
STEP2 取組内容を選択して申請する
宣言項目ごとに取組内容を選択します。申請時点ですべての取組が開始されていなくても宣言は可能ですが、取組開始日(申請日から1年以内に設定)までにすべての取組を開始している必要があります。
STEP3 審査・公開
申請確認に約1ヶ月程度かかります。公開はメールで通知されます。
申請の注意点
- 宣言の有効期限は申請日の翌月を起算日として2年経過後の最初の12月末までです
- 元請事業者・下請事業者の立場で宣言できますが、発注者の立場は加点対象外です
- 取組開始日までに実施できなかった取組は、マイページから取り下げが必要です。取り下げを行わないと再度の申請が1年間できなくなる場合があります
- 重複して宣言することはできません
なぜ浸透していないのか?私見
令和8年7月24日時点で、茨城県内の建設業許可業者11,718社のうち自主宣言をしているのはわずか147社(1.25%)にすぎません。
私見ですが、この制度が浸透しない最大の原因は中小規模の建設会社の実情を無視した制度設計にあると感じています。週休2日制や夏期休暇の確保といった取組が宣言項目に含まれていますが、現場の人手不足や工期のプレッシャーを抱える中小企業にとって、これらは「宣言できる状況にない」というのが本音ではないでしょうか。
制度の理想は理解できます。しかし、現場の実態との乖離がある限り、普及は容易ではないと思っています。
それでも登録をおすすめする理由
他社がまだ登録していない今こそ、早めに宣言内容を確認しておくことをおすすめします。取組開始日は申請日から1年以内で設定できるため、まずは申請して準備を進めるという方法も選択肢の一つです。
茨城、栃木、埼玉エリアの建設業者の方へ
髙橋行政書士法人では、経営事項審査(経審)に関するご相談を承っています。「職人いきいき宣言の内容をもう少し詳しく聞きたい」「経審の準備を一緒に進めたい」という方も、まずはお気軽にご相談ください。

